91: ニューノーマル
June 29, 2020
Shelter in Place (Stay-Safe-At-Home Order) というオーダーが出て3ヶ月を過ぎて生活が最適化されてきたように思う。比べてみるとオーダーの前よりも明らかに生産的になっているし、多少の不便(そのほとんどは現在の不便ではないのかもしれない)を受けれ入れてしまうと、もう前の状態に戻れることが正しいことなのかわからない部分もある。
物理的な出勤は無くなり、毎日同じような形(今思うと毎日まちまちな公共交通機関での出勤はリズムを乱していたよう)で仕事が始まり、集中しすぎてしまう日中を過ぎれば終業時間をそわそわと心待ちにして夕方には一度区切りを付けられる。これがオフィス勤務だったら、帰路に就くことよりも目の前の作業でもっと成果を出すことの方がコストが低いと見積もりがちで、通勤ラッシュを少しばかり遅れてオフィスのセキュリティロックをする係になっているのが本来の日常だった。
退勤時間で席を離れ、少し運動をして、夕食をつくって食べて、一息をついたら何かを出力することにまた時間を使う。本業はじめ請け負っている仕事も趣味の開発も、気の向くままに手にとることができる。帰り道に立ち寄っていたビアバーは、たまに買っておく缶ビールになり、外食していたものはPostmatesが調理時間を節約したい昼食に届けてくれる。
出てくるアウトプットで比べると、突然強いられた新しい暮らしの方が確実に良いものと言えてしまうのだけど、目前のことに対しては早々に順応した反面、中長期的なこと、例えば家庭やキャリアをどうしていくかみたいなことは突然の考え直しに迫られている。今までの価値観に基づいての行動は叶わず、この状況がどのくらいで収束をするのかをただ眺めている他なくて、「どうせこの状況が続くのなら」と腰を上げるにはまだ時間が足りない気がしてやきもきする。
今はただ非日常を切り抜けているのだと大きな判断を下すことを先延ばしにしている。